俺様社長と結婚なんてお断りです!~約束までの溺愛攻防戦~
「ーーえっと、洸ちゃん。 私、いま金欠でフルオーダーの指輪を買う余裕はないんだけど・・・。そもそも、頼んでたっけ?」

何度考えても頼んだ覚えはないので、羽衣子は正直に聞いてみることにした。


「金は俺が出すから問題ない」

「うん? 何で洸ちゃんが出すの?」

日頃の横暴ぶりを反省してプレゼントでもしてくれるつもりだろうか。

「いやいや。洸ちゃんに限って、そんな殊勝なこと思いつくわけないよ」

羽衣子はぶんぶんと首を横に振った。

「婚約指輪は男が買うもんだろ」

さらりと放たれたその言葉の破壊力といったら・・・

数え切れないほどの疑問符で羽衣子の頭は完全にキャパオーバーだ。思考回路はあっけなく断ち切られてしまった。


どのくらい沈黙が続いただろうか。
羽衣子は大きく深呼吸して、洸に向き直った。とっても大事な場面だ。
間違えたり、流されたりは決して許されない。


「もっかい確認ね。 この指輪は婚約指輪なの?」

「そう」

「誰が誰にあげるの?」

「俺が羽衣子に」

当然のように言ってのける洸に羽衣子は深い深い溜息を落とした。


「ーー何がどうなったら、そんな話になるのよ〜〜!?」


「約束しただろ。羽衣子が27になった時、誰も相手がいなかったら俺が貰ってやるって」

「してないっ」

「した」

「してないって」

「お前が忘れてても、約束は約束だからな。ちゃんと守って嫁に貰ってやるから感謝しろよ」

洸はニヤリと笑った。どう考えても、嫌がらせを楽しんでいるようにしか見えない。
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