俺様社長と結婚なんてお断りです!~約束までの溺愛攻防戦~
「それにしても、洸ちゃんすごいわよね〜。この間も夕方のニュースに出てたの、おばさんしっかりチェックしたわよ」

思いがけない話題を振られて、洸は苦笑するしかなかった。
それはイケメン実業家特集とかいう何とも下らない企画だったのだが、新商品の紹介を条件に渋々出演を了承したものだった。

「綾子さんが観てくれてたなら、羽衣子にも出るように言っておけば良かったな。あいつ、雑誌だのテレビだのをやたらと嫌うから・・」

「あんなに美人の社員さんばかりの中で、うちの羽衣子なんてどうせカットされちゃうからいーのよ!
それより、あの子ちゃんと仕事できてる? 幼馴染だからって遠慮せず役に立たなかったら、クビにしていいからね」

長年バリバリ働いてきた綾子らしく、自分の娘にも容赦のない物言いだ。

洸はにこりと微笑んで、言った。

「羽衣子はうちになくてはならない人材ですよ。 代わりがきかないんで、働かせ過ぎちゃって申し訳ないです」

「・・・洸ちゃんもすっかり大人になっちゃったわね〜」

綾子は目をまんまるくして、洸を見つめた。 洸は綾子の言いたいことを何となく察した。

「相変わらず子供ですよ。 お世辞は今でも言えませんから」

「クスクス。ありがとう。じゃあ、そういう事にしておきましょうか」
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