俺様社長と結婚なんてお断りです!~約束までの溺愛攻防戦~
「そんなぁ〜。 川上さんに全て任せられるようになったら、私は美羽町の本店に戻ろうと思ってたのに・・」

「お前に人事権を与えた覚えは無い」

ばっさりと切り捨てられてしまった。



羽衣子が大好きだった永瀬宝飾店は今や従業員を100人以上抱える株式会社に形を変え、《プリュム》の名前で都心を中心に多店舗展開する人気ジュエリーブランドに成長していた。

洸が大学生だった時、洸の両親が自動車事故で亡くなった。洸は二十歳かそこらの若さで永瀬宝飾店の跡を継いだ。
子供の頃から成績優秀だった洸は国立大学に通っていたが、どっちつかずは嫌だと言ってあっさり中退してしまった。


最初はおじさんと同じようにリメイクなんかを中心にやっていたけど、完全オーダーメイドのブライダルジュエリーを前面に打ち出してみたらそれが大当たりだった。

プリュムはあっという間に大きくなり、オーダーメイドジュエリーといえば真っ先に名前のあがるブランドになった。


今は比較的お手頃価格なオリジナルジュエリーも販売していて、こちらは女子大生やOLに大人気だ。


昔から、その性格以外は欠点が見当たらず勉強もスポーツも何でも優秀だった洸だけど、ここまでの商才があったとは羽衣子も想像できなかった。

天国のおじさん、おばさんもきっとびっくりしているだろうと思う。
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