キミは空に輝く
ついでだからと、
太耀君が家まで送ってくれる事になった。
その間、色々な事を話ながら歩く。
「太耀君のお姉さん達すごく綺麗なんだね?
いつか見てみたいなー。」
「みんなそう言うけど、全然わかんねー!
むしろあいつらのせいで、
女は恐い生き物としか思えない…。」
(由紀が言ってた、恋愛対象として
見れないって、それが原因なのかな…?)
私はさっき聞いた話を思い返していた。
(そういえば…
結構モテるって言ってたよね。)
隣を歩く太耀君を横目で見る。
背は小さいけれど、
大きな目に整った顔立ちは、
確かに女子からは人気がありそうだ。
こっそりと観察していると、
不意に太耀君がこちらを向き、目が合った。
――…!
「六花ちゃん、どうかした?」
私は慌てて目を反らし、
何か話そうと話題を探す。
「あ…、太耀って名前、
ピッタリで格好いいよね!」
突然の話題に驚きつつも、
太耀君は笑顔で応えてくれる。
「ありがと。うち両親が自然とか好きで、
こんな壮大な名前になったんだよね。
ちなみに家族全員結構すごい名前。」
話が続いた事にホッとしながら聞いていると、
太耀君が私の方を見て続ける。
「さっき…嫌いって言ってたけど、
六花って名前…俺は好きだよ。」
「え…。」
「六花って、雪の結晶の事でしょ?
綺麗な雰囲気とか、
六花ちゃんにすごく似合ってると思う!」
名前を誉められてるだけなのに、
顔が熱くなっていくのがわかる。
顔を赤くしている私に気づいたのか、
太耀君も慌てて喋り出す。
「ご、ごめん!
俺何か恥ずかしいセリフ言ったかも!?」
「ううん、そんな事ないよ!
…ありがとう。」
2人で赤くなりながら歩いているうちに、
家のすぐ近くまで着いた事に気づく。
「あ、家もうすぐそこだから…。
送ってくれてありがとう。」
「そっか、じゃあまた来週な!」
太耀君は大きく手を振ると、
走って帰って行った。
私はその後ろ姿を、
まだ少し熱を持った頬に手を添えながら
見えなくなるまで見つめていた。