キミは空に輝く
恋をする勇気
北海道の秋は短く、
風が吹くと身震いをする寒さだ。
11月に入り、朝のニュースでも
そろそろ初雪だと言っていた。
私は慣れない寒さに耐えながら、
毎日登下校を繰り返す。
それでも毎日が楽しいのは、
仲良くなった沢山のクラスメイトと、
隣に座る太耀君のおかげだと思う。
「太耀君おはよう。」
「うん、おはよー。」
いつも通りの笑顔の挨拶。
でも、少しずつ変わって来たのは私の気持ち。
太耀君の笑顔を見ると、
心がドキドキする…。
太耀君が他の女の子と楽しそうにしていると、
心が苦しくなる…。
きっとこれは恋だと、自分でも気づいてる。
でも…告白したいとか、付き合いたいとか、
そんなつもりは全然ない。
ただ好きな人がいる…それだけで十分。
どんなに好きでも、
辛い別れが待ってるなら、
私は今のままでいい。
それでも、卒業という区切りが近づき、
周りの動きは活発になってる気がする。
由紀は、隣のクラスの渡辺君と
付き合う事になったし、
太耀君もこないだ女の子に告白されてた…。
――…。
みんなそうやって変わっていくのに、
私はずっとこのままなのかな。
あんなに仲の良かった両親が別れた。
辛い別れが待ってるなら、
初めから一緒にいない方がいい。
私にはまだ、恋愛する勇気がないよ…。
明るい時間が短くなり、
夕方にはもう沈んでいく太陽を
私は教室の窓から静かに見つめた。