キミは空に輝く
いつものように、
背中に夕日を浴びながら家に帰る。
(本当に、すぐにでも雪が降りそう…。)
そう思えるほど、
外の空気はひんやりとしている。
かじかんだ手で、
家の鍵を開けようとするが、
鍵が開いている事に気づく。
(あれ?お母さん仕事から帰ってるのかな?)
私は恐る恐る扉を開けた。
玄関には、母の靴と見慣れない男物の靴が
無造作に置かれている。
(男の人…誰…?)
私は話し声の聞こえるリビングに近づき、
開いたままの入り口から
ゆっくりと中を覗いた。
――!
そこには、男の人に寄りかかる
母の姿があった。
(何で…?)
――カタンッ
私は思わず後ずさると、
後ろにある置物にぶつかる。
音に気づき、母が振り返ったけれど、
私は顔を見る事が出来ず、
急いで家を飛び出した。
後ろから母の声が聞こえた気がしたけれど、
振り返らずに、ひたすら前を向いて走った。