キミは空に輝く

太耀君の家は本当に公園のすぐ近くで、


何も考えずに走ってたどり着いた事が


少し運命のようにも思えて、嬉しくなる。


(でも、太耀君の家族に会えるんだ…。

すごい緊張してきちゃった…。)


そう思っていると、


太耀君が扉の取手に手をかけながら


気まずそうにこちらを向く。


「多分、すっごいうるさいから、

落ち着くどころか気分悪くしたら

ごめんね…。」


――バンッ!!


言い終えた瞬間、勢いよく扉が開き、


取手を握っていた太耀君は


顔面を強打してしまった。


「――ってー!」


「太耀君…!大丈夫!?」


しゃがみこむ太耀君に駆け寄ると、


家の中から声がかかる。


「太耀!プリン買いに行くのにどんだけ

時間かかってるんだよ…!って、誰?」


見上げると、そこには長身で


綺麗な顔をした女の人が立っていた。


「ふう姉、どうしたの?

太耀やっと帰って来たー?」


すると、その後ろからもう1人


顔の似た長身の美人が顔を出す。


2人は私を見ると、


信じられないと言った顔をして、


急いで家の中に戻る。


「お母さーん!

太耀が女の子連れて来たんだけど!!」


バタバタと騒ぐ様子を呆然と見つめていると、


太耀君がため息をつきながら立ち上がる。


「はぁー。まじめんどくさい…。

騒がしくてほんとごめん。入って。」


そう促されて、


私は太耀君の家族の待つ家の中へと


足を踏み入れるのだった。

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