キミは空に輝く
真っ暗な帰り道を、太耀君と並んで歩く。
私はカバンにしまったプレゼントを
いつ渡そうかタイミングを伺っていた。
太耀君の方をこっそり見た瞬間
「っ…くしゅんっ!」
太耀君が大きなくしゃみをした。
(あ…今、渡せるかも…!)
私は急いでカバンからラッピングされた
袋を取り出すと、太耀君に差し出した。
「これ、クリスマスプレゼントなんだけど、
良かったら使って…!」
太耀君は、一瞬驚いた顔をして固まるが、
すぐに嬉しそうな笑顔を見せる。
「ありがとう!今、開けていい?」
私は無言で頷く。
袋の中から出てきたマフラーを見て、
太耀君が嬉しそうに声をあげる。
「すげー嬉しいっ!!」
急いで首にマフラーを巻くが、
後ろの方が捻れてしまっている。
「太耀君、ここ捻れてるよ。」
そう言って手を伸ばした瞬間、
振り向いた太耀君と間近で目が合った。
――……。
見つめ合ったまま、少しの間沈黙が続く。
その時、僅かに動いた私の冷えた指先が
太耀君の首に触れ、
思わず身震いをした。
「―っ…。」
「ごめん…!冷たかったよね!」
私はとっさに手を離すと、
顔を赤くしてうつむいた。
(…ドキドキしたぁ…。
太耀君、ちょっと背が伸びたなぁ。)
そんな事を考えていると、
目の前にラッピングされた
包みが差し出された。
「俺からもプレゼント…。
もし良かったら使って?」
そう言われて包みを開けると、
中には暖かそうな手袋が入っていた。
「ありがとう…!嬉しい…。」
私はさっそく手袋を手にはめる。
「雪の結晶の柄が、六花ちゃんっぽいな
と思って…。」
私の事を考えながら選んでくれた事が
嬉しくて、思わず笑顔になる。
私達はお互いのプレゼントを身に付けて、
前よりも確かに縮まった距離を感じながら、
ゆっくりと歩いて行った。