キミは空に輝く
目的地に向かいながら、
私はある話を切り出すタイミングを
考えていた。
(怖くてなかなか聞けなかったけど、
今日こそ太耀君にどこの高校受けるのか
聞きたい…!)
初詣で合格祈願をした流れで、
今日こそは聞こうと決めて来た。
私は太耀君を横目で見ながら、
重い口を開こうとした。
その時、うっすらと明るくなり始めた
空を見上げて、太耀君が慌てた声を出す。
「ヤバイ!!間に合わないかも…!
ごめん六花ちゃん、ちょっと急ごう!!」
そう言われて急ごうとした時、
慣れない雪道に滑り、転びそうになる。
「あっ…!」
太耀君は私の声に振り反ると、
すぐに気づいて咄嗟に手を握る。
「あ、ありがとう…。」
転びそうになったせいか、
それとも握られた手のせいなのか、
私の心臓は激しく高鳴る。
「危ないから…このまま歩こう…。」
太耀君は顔を赤くしながら、
私の手をしっかり握って歩き出す。
やがて私達は坂道を登り、
小さな丘に到着した。
「…わぁ…!」
そこには、空に輝く初日の出と
その光に照らされてキラキラ輝く
雪の結晶が織り成す景色があった。
「すごい…!すごい綺麗だよ太耀君!!」
私は感動で思わず大きな声をあげる。
太耀君はそんな私を見て嬉しそうに
笑顔を見せる。
「昔、家族で見に来たんだ。
絶対六花ちゃんにも見て欲しいと思って。
やっぱり、六花ってすごくいい名前だね!」
そう話す太耀君に、私は思わず呟く。
「私も…太耀君が側にいてくれたら、
この結晶みたいに輝ける気がする…。」
不意に口に出してしまった言葉に、
顔を赤くすると、
太耀君が握っていた手に力を込める。
そして、私の方を見つめると
決意したように告げる。
「六花ちゃん、俺…側にいるために
絶対頑張るから!!」
何を頑張るのかわからなかったけれど、
側にいるという言葉が嬉しくて、
私は笑顔で頷いた。