キミは空に輝く
翌日も太耀君は学校を休んだ。
私は空っぽの席を見つめ、
今日も全く頭に入らない授業を受ける。
昨日の太耀君の話を聞いた後は、
何の授業を受けて、
どうやって家に帰ったかも覚えていない。
家の中でも、
ひたすら頭の中を整理しようとしたが、
何も考えられなかった。
(初めて…側にいたいって思えたのに。
やっぱり、辛い別れが待ってるなら、
始めからこんな気持ち知らなきゃよかった。)
これからも太耀君の側にいられたら…
そんな期待に胸を膨らませたあの日。
そして悲しい現実を知って、
不安に押し潰されそうな今の私。
太耀君…
そんな私を見て、貴方は何て言うのかな…。
(会って話をするのが怖い…。)
そう思いながら、
私は溢れそうな涙を必死にこらえた。
―――
翌日、太耀君が教室に姿を見せると
みんなが一斉に声をかける。
「太耀ー!寂しいじゃねーか!!」
「もっと早く言ってよー!
たまにはこっち遊びに来てね!!」
「え…!?みんな、何で知って…?」
太耀君はみんなが例の事を知っている事に
戸惑いながら、私の方を見た。
私は、思わず勢いよく目を反らす。
(やっぱり…本当なんだ…。)
心のどこかで、まだ信じられない自分がいた。
太耀君が来たら、そんなの嘘だよって
言ってくれるんじゃないかって…。
私は席に座り、じっと下を向く。
太耀君がみんなに返事をしながら
席に近づいて来るが、
私は顔を上げる事ができなかった。
太耀君が席に着き、私の方を向いて
何か言いたそうにしているのを感じる。
「…六花ちゃん、あの…」
声を聞いた瞬間、
私は席を立ち、教室を飛び出した。
(太耀君の口から話を聞くのが怖い…!)
私は涙をこらえ、1人廊下を歩いた。