キミは空に輝く
それぞれの事情
私が転校してから2週間が過ぎ、
夏休み明けの確認テストというものが
やっと終わった。
放課後の教室では、
解放感に包まれる生徒達が騒いでいる。
「そう言えば、テストも終わったし、
六花の歓迎会しない!?」
そう提案してくれたのは、
ここ数日ですっかり仲良くなった
友達の由紀だった。
――いいねー!
――カラオケとかどうー?
みんなから賛同の声が上がり、
明日の土曜日に
私の歓迎会が開かれることになった。
翌日、待ち合わせた由紀と一緒に
カラオケ店に入る。
案内された部屋に入った瞬間、
クラッカーが鳴り響き、
みんなが笑顔で迎えてくれた。
「ビックリしたー!
みんな、ありがとう!!」
予想外のサプライズに笑顔がこぼれる。
「これ太耀が考えたんだよー!
ほんとみんなを盛り上げるの好きだよね!」
私は思わず太耀君の姿を探す。
太耀君は一番奥の席にいて、
私と目が合うと、笑顔で手を振ってくれた。
(また、嬉しい事してもらっちゃった…。
ちゃんとお礼言わなきゃ。)
そう思ったが、すぐに他の友達に囲まれて
太耀君とはなかなか話す事が出来なかった。
カラオケで盛り上がる中、
数人の女子から質問が飛び交う。
「六花ちゃんは向こうに彼氏とかいないの?」
中3ともなれば、恋バナ大好き!
素敵な恋愛してみたい!
っていう年頃だけど、私は…
「全然いないよー!
っていうか、私恋愛とかわからなくて…。」
あんなに仲の良かった両親が、
中学に入った頃からケンカばかりになり、
ついには父が母に暴力を奮い出し、
最近やっと離婚が成立したばかり。
そんな姿を見てたら、
恋愛なんてしたいと思えなかった…。