キミは空に輝く
昔を思い出して、
少し黙ってしまった私に気づかないまま、
みんなは話し続ける。
「そうなんだー。
キレイだし絶対モテそうなのにね!
六花って名前も可愛いよね!」
――…。
『六花』はお父さんが付けてくれた名前。
昔は大好きだったこの名前が、今は…
「私…こんな名前大っ嫌い…!」
――…!?
思わず、大きな声を出してしまい、
周りが静まりかえる…。
「そ、そうなんだ。ごめん…。」
友達が戸惑う姿を見て、我にかえる。
(あ…せっかくの歓迎会なのに、
私なにやってるんだろう…。)
何を言っていいかわからず、
うつむいて焦っていると、
奥の席から明るい声が飛んできた。
「東京だと可愛い名前だったのに、
北海道来たら六花○ってお菓子屋の
名前だもんねー。そりゃ嫌だよね。」
顔を上げると、
太耀君が笑顔で近づいて来た。
「こないだお店行った時、
ショック受けてたもんね。」
同意を求められ、私は思わず話を合わせる。
「う…ん、実はそうなんだ。
ビックリさせてごめんね!!」
友達がホッとした顔を見せ、
またさっきまでの騒がしさが戻る。
気を取り直して話を続ける友達を横目に、
私は席に戻っていく太耀君を見つめながら、
心が温かくなるのを感じた…。