キミは空に輝く

店の前にいるクラスメイトを見回すが、


太耀君の姿は見当たらない。


(もう、帰っちゃったんだ…。

連絡先も知らないし、来週お礼言わなきゃ!)


そう思いながら、


私は家に向かって歩き出した。



しばらく歩いていると、


道の向こう側にさっきまで探していた


彼の姿を見つけ、急いで駆け寄った。


「太耀君…!?どうしてこっち側に?

確か、家は駅の向こう側だよね?」


驚いている私に、


太耀君は気まずそうな顔をする。


「由紀に家の方向聞いて待ってたんだ。

ちゃんと会えて良かったー。」


そう言い終わると、


今度は困ったような顔をして話始める。


「さっきは勝手な事言ってごめんね!

何か雰囲気戻した方がいいと思って、

適当な事言っちゃって…。」


思ってもみなかった謝罪に、


私は大きく首を振って応える。


「全然謝らなくていいよ!

むしろまた助けてもらっちゃって、

お礼言いたいと思ってたの。

本当にありがとう!!」


今日中にお礼を言えた事にホッとする。


太耀君も私の言葉を聞いて、


やっと笑顔を見せてくれた。


「あ、あとサプライズも嬉しかった!

太耀君には喜ばせてもらってばっかりだね。」


そう言うと、太耀君は頭をかきながら


恥ずかしそうにしている。


「俺の方こそ、喜ばせてもらってるよ。」


「え…?私、何もしてないよ!?」


そう言うと、太耀君は笑顔で話す。


「こないだメモに書いてくれた事…。

俺、明るいのなんて当たり前で、

あんな風に言って貰えたの初めてだったから、

すげー嬉しかったんだ。」


あんな小さな事で喜んで貰えるなんて…。


私は思わず笑ってしまった。


「何で笑うの…!?

うわー、恥ずかしくなってきた。」


私達は顔を見合せ、


しばらくの間笑い合っていた。

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