イジワル御曹司と花嫁契約
母の病状は私が思っていたよりずっと深刻で、手術だって絶対に成功するとは限らなくて、下手すればそのまま死んでしまう可能性もあるし、神経を傷つけて体の一部が動かなくなる可能性も低くはないらしい。


　どうしよう。手術すればもう治るって思っていたのに。


どうしよう、母が死んじゃったら、どうしたらいいんだろう。


　手術は一週間後。


こんな精神状態の中、お店に立てるわけもなく、術後も絶対安静でしばらく動くことができないらしいので、お店はしばらく閉めることにした。


　萩原さん夫婦にはとても申し訳ないけれど、二人は私の決断を尊重し励ましてくれた。


もしかしたらこのままお店は潰れてしまうかもしれない。


それでも今は母と一緒にいられる時間を優先したい。


　私の決断は間違っているのかな。どうすればいいのか、今後どうなるのか、先行きがあまりにも真っ暗で方向を見失ってしまったみたいだ。


　母は私の全てだ。


母がいなくなったら、私は天涯孤独の身となる。


生きる意味を見失ってしまう。


　彰貴に母の手術の日程のことを電話で話すと、落ち込んでいることを見破られた。


彰貴にしては珍しく優しい声色で、私を励まそうとしているのが伝わってくるので、涙が込み上げてきて、慌てて乱暴に通話を切った。
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