イジワル御曹司と花嫁契約
「俺の家に来ればいい。まあ家っていっても、ランドタワーのレジデンスだが」


「ランドタワーのレジデンスってなに?」


「そうだな、代表的な例をいえば、六本木ヒルズとかミッドタウンとかだな」


 絶句だった。


そんなところに、本当に人が住んでいるなんて。


私にとっては火星に住んでますと言われるくらいの別次元の話だ。


「ムリムリムリムリ!」


 顔を何度も左右に振って、拒絶の意思を表した。


心なしか私の顔が青くなっている気がする。


「どうして」


 彰貴は明らかに不満気な様子。


「お店とか病院とか通えないし!」


 どこに住んでいるのか知らないけど、いつも車で来るってことはそれなりに遠い距離にあるのだと思う。


「お前専属の車を用意させる」


「ムリムリムリムリ!」


 二度目の無理多発使用。


よっぽど無理なんだということを分かってほしい。


「なんでだ」


 今度は眉間に皺を寄せて、少し怒っている様子。


自分の提案が拒否されることが気に食わないようだ。
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