イジワル御曹司と花嫁契約
「待って、彰貴がここに住むってことは、ふかふかのベッドで寝ていた人間が、ジャングルの何もないところで野宿するようなもんだよ」


「いや、そこまでなはずないだろう。いいとこアウトドア感覚だ」


「でも……でも……」


 彰貴がうちに住むなんて、そんなの無理に決まってる。


住む世界が違う人なんだ。


生まれてからずっと、これからも……。


でも上手くそれを言葉にできなくて、ただ慌てふためいてるだけだった。


「場所なんてどうでもいいんだよ。言っただろ、胡桃がいれば何もいらないって」


 彰貴はもう、覚悟を決めたようだった。


 彰貴の家に住むというよりも、狭くて古いこの家で一緒に暮らすという方が、なぜか甘美なもののように感じた。


彰貴の家と違って、ここは一部屋しかないし、小さな布団を寄せ合って寝るしかない。


そこには避けられない男女の深い結びつきが当然あるわけで……。


「でもさ、だってさ……」
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