イジワル御曹司と花嫁契約
何を言えばいいのか混乱してきた。


問題となる趣旨が、私の中で少しずつ変化していって、ここに住むことが問題なのか、深い仲になることが問題なのか、よく分からなくなってきた。


それに、一度言い出したことは何が何でも押し通す性格の彰貴に、どうやって納得してもらえばいいのだろう。


「服とか、物とか、置き場所ないよ!」


 物理的に無理だということを分かってもらおうと現実的な不可能さを押してみた。


「服なんて会社に届けさせればいいだろう」


 そうか、お金持ちだからなんとでもなっちゃうんだ、この人は。


「お母さんが退院したらどうするの!?」


「そしたら、お役御免ってことになるんだろうな。不服だが」


 ずっと一緒に住みたいと思ってくれている気持ちが伝わってきて、とんでもない提案をされているのに、なんだかだんだんその気になってきた。


 一緒に住めば会える時間が増えると彰貴は言った。


会いたいと思ってくれていることが嬉しかった。


私のために、こんな狭くて何もなくて寝心地の悪いところでも、一緒に住もうと言ってくれる。
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