イジワル御曹司と花嫁契約
「嫌か?」


 彰貴の指が、私の髪の毛に潜り込み、右耳に軽く触れた。


懇願するような官能的な目。


そんな瞳で見つめられたら、断ることなんてできない。


だって本音は私だってずっと一緒にいたい。


一人でいるこの部屋は寂しくておかしくなりそうだった。


「……嫌じゃない」


「じゃあ、決まりだ」


 彰貴は妖しく微笑んで、私の唇を食べるように口付けしてきた。


吸い付いては離れ、また吸い付く。


静かな部屋に、リップ音が響く。


腰が砕けるような、甘いキスの嵐に、頭も体もどうかなってしまいそうだ。


 
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