イジワル御曹司と花嫁契約
 目覚めた時に、一人ではないということが、どれほど安らぎと幸福感に満たされるかということを、身を持って体験した。


 私は彰貴に包まれるように眠っていて、頭の下には彼の手があり、彼の足は離さないと言わんばかりに私の足に絡まるように乗せられていた。


彰貴の体温を感じて、額には彼の寝息が吹きかけられる。


くすぐったくて、少し窮屈で、それでも胸の中がムズムズするような、笑い出したくなるような、不思議な幸福感に包まれていた。


 起き上がるのがもったいなくて、彰貴の身体にすり寄り、腰に手を回してぎゅっと抱きしめた。


すると、彰貴が目覚めた。


「ん……おはよう」


 寝ぼけ眼で、少し掠れた声を出した彰貴の顔は、とても温和で幸せそうに見えた。


こんなに優しい顔もできるんだと少し驚く。


「おはよう」


 私は少し照れくさそうに言った。


何しろ裸のまま寝てしまって、今も肌と肌が直接触れ合っているからだ。


 軽くキスをしてから彰貴は起き上がり、まだ寝起きの声のまま電話をかけ、すぐに迎えにきてくれと頼んでいた。
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