イジワル御曹司と花嫁契約
この関係性を恋人、と呼んでいいものなのか。


少なくとも私は、彰貴のことを心から愛している。


愛が何かと聞かれたら上手く説明できないけれど、自分よりも大切なものとして表現するなら、彰貴は自分よりも大切にしたいものだと躊躇なくいえる。


自分よりも大切なものは、この世で母だけだった私に、一つ増えた大切な宝物。


 彰貴はどうなのだろう。


私のことはどう思っているのだろう。


 分からないけれど、二人の間にある、吸い寄せられるような空気感や、私を見つめる眼差しに好意がないとはどうしても思えない。


それが恋なのか愛なのか、それは私がどんなに考えたって彰貴にしか分からないことだ。


 ほどなくして、彰貴専用のリムジンが到着し、彼は颯爽とそれに乗った。


空気の澄んだ清々しい朝だった。
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