イジワル御曹司と花嫁契約
午前七時、まだ早朝だというのに、人はまばらにいて、少しさびれた商店街はすでに動き出している。


いつもよりも早い時間にお店に着き、シャッターを開けた。


東の空から昇る日差しを背中に感じて、いつもより空気が軽く感じて自然と背筋が伸びる。


 さて、今日も頑張ろう。


 まずは溜っている事務処理を片付ける。


小さな店には事務用の机を置く場所がないので、キッチンの片隅で、背もたれのない丸椅子に座って、伝票を広げ電卓を叩く。


 今月も少し赤字。


私が病院に行って店を開けることが多いので、閉店時間を早め、お弁当の数を減らして営業していることが原因だ。


萩原さん夫婦にお給料を支払ったら、手元に残るお金はほとんどない。


ほとんどどころか全くない。


材料費や賃料、その他雑費などに綺麗に消えてしまって、ここ数か月はタダ働きだ。


貯金もどんどんなくなっていってるし、このままだとお店の存続自体が危ない。


もっともっと頑張らないと。
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