イジワル御曹司と花嫁契約
「下着とか部屋着とか……色々」


「そうだよね、色々必要だよね。もっと部屋が大きければ彰貴の荷物も置けるんだけど」


 苦笑いしながら彰貴を見上げる。


 本当にここに住んでくれることが嬉しい。


一泊で音を上げて、やっぱり住めないと言われても何も文句を言えない立場だから。


「そのことだが、しばらくここで厄介になるわけだから、これをお前に預ける」


「え?」


 キョトンとしていると、彰貴は財布から一枚のカードを出した。


「好きに使っていいぞ」


 目の前に差し出されたのは、黒光りするクレジットカード。


 これは、まさか……かの有名はブラックカード!?


「ムリムリムリ! こんなの怖くて持てない!」


「大丈夫だ、落としたって盗まれたって、盗難保険が充実しているから、普通のカードよりも安全だ」


「そういう問題もあるけど、そういう問題じゃなくて」


 自分でもおかしなことを言っている自覚はあるけど、それよりも気が動転していた。


「じゃあどういう問題なんだ」


 彰貴はとてもまっとうな疑問を投げかけた。
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