イジワル御曹司と花嫁契約
「明日、ちょうどお店が休みだから、色々買ってくるね」


 ブラックカードを胸の前で両手に包んで、とても大事そうに持っている私を見て、彰貴は少しほっとしたように微笑んだ。


 頑固な私を説得してカードを持たせるにはどうしたらいいか、彼なりに考えていたのかもしれない。


「でも、どこで買ってこようかな。せっかくだからタオルとかお揃いのマグカップとかも買いたいし……。彰貴はいつもどういう所で買ってるの?」


 私がいつも行くところは、お店の近くにある安い雑貨屋で、きっとそういうのは彰貴の趣味には合わないだろう。


それならせっかく買っても意味はない。


「八重木(やえぎ)に車を出してもらうよう言っておく。あいつなら俺の好みを熟知しているからな」


「八重木って……あの運転手さん?」


「そうだ」


「そんなの悪いよ!」


 慌てて拒む私に、またかと彰貴は呆れ気味に言った。


「明日は一日社内にいる。だからあいつは暇だろうし、これも運転手の仕事のうちだ。お前が気にすることはない」
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