イジワル御曹司と花嫁契約
「俺を翻弄させたこと、後悔させてやる」


「翻弄? 何言ってるか分かんない」


「分かんなくていいんだよ。分かったら……俺が恥ずかしいだろ」


 どこまでも分からない私に、自分の情熱を流し込むように唇を重ねてきた。


彰貴の身体が、熱い。


珍しく彰貴に余裕を感じなくて、溢れ出る感情をぶつけるようにキスを降り注ぐ。


 固い畳の上は少し背中が痛くて、それでも彰貴は止まらなくて、それがなんだか妙に気持ちを昂らせた。


 ただ無心に互いの身体を貪りあうように求め合った。


狭くて古い部屋。


天井にはいくつかしみができている。


少し声を出せば隣に聞こえてしまうほどの薄い壁。


それを気にして必死に声を我慢している私に気が付いた彰貴は、私の唇を自分の唇で覆う。


そして私は悲鳴に近い声を上げ、その声は彰貴の口内に吸収されていった。


固い畳の上。


決して居心地がいい場所ではないけれど、二人で一緒にいる、それだけで十分だった。
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