イジワル御曹司と花嫁契約
お店は二階建てになっていて、一階は日常品や照明器具などの小物類、二階は大型家具が置かれている。


まずは日常品を揃えようと、水回りの品々が置かれているコーナーへと足を運ぶ。


 お、トイレットペーパーもある。


 一ロールずつ包装紙に包まれているそれは、オシャレな置物のようだった。


そうそう、こういうトイレットペーパーが欲しかったの。


一番多く入っているもので四ロール。


少ない気もするけれど、そもそも彰貴はそんなにうちに長くいないので足りるだろう。


 普段私が使うのは安いのでいいし、なんてケチくさいことを考える。


 四ロール入った袋を裏返し、値段を見る。


一二〇〇円(税別)。


「はあ!?」


 思わず大きな声が出てしまって、店内にいる人達が一斉にこちらに振り返った。


 しまった、つい。


耳まで真っ赤になりながら、こそこそと棚に隠れる。


 胸がドキドキしてきた。


トイレットペーパーが一二〇〇円……。


しかも四ロール。


私が使っている一二ロール一九八円は一体……。


いやいや、近所のドラッグストアが安すぎるんじゃなくて、これが高すぎるんだ。


だって、四〇〇円以上するトイレットペーパーなんて見たことないもの。


私の感覚がおかしいのか、それとも都心の一等地ではこれが当たり前?
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