イジワル御曹司と花嫁契約
「冴木胡桃です。もちろん、ご存知だとは思いますが」
「ああ、知っているよ。というか、調べさせてもらった」
私は何も言わずに、拳にぎゅっと力を込めた。
「勝手に調べて悪かったね。けれどこれは、東郷家にとっても会社にとっても大変重要なことなんだ。気を悪くしないでくれ」
私の体に一瞬力が入ったことを見抜いての発言だった。
なるべく感情を顔に出さないように努めていたのに気付かれてしまった。
「いえ、彰貴さんも最初に私のことを調べていたのでもう慣れました」
「ははは、勝手に調べるなんてとんでもない親子だと思っただろう」
それに対しては返事をしなかった。
いいえ、そんなことは思っていません、なんて心にもないことは言えない。
「君の様子を見るかぎり、これから私が言おうとしていることは何となく分かっているんだろう?」
一瞬、言葉に詰まった。
ほんの一拍分、視線を落とし心を落ち着かせてから、真っ直ぐに彰貴のお父さんの目を見つめた。
「いいえ。何の話か、見当もつきません」
「ああ、知っているよ。というか、調べさせてもらった」
私は何も言わずに、拳にぎゅっと力を込めた。
「勝手に調べて悪かったね。けれどこれは、東郷家にとっても会社にとっても大変重要なことなんだ。気を悪くしないでくれ」
私の体に一瞬力が入ったことを見抜いての発言だった。
なるべく感情を顔に出さないように努めていたのに気付かれてしまった。
「いえ、彰貴さんも最初に私のことを調べていたのでもう慣れました」
「ははは、勝手に調べるなんてとんでもない親子だと思っただろう」
それに対しては返事をしなかった。
いいえ、そんなことは思っていません、なんて心にもないことは言えない。
「君の様子を見るかぎり、これから私が言おうとしていることは何となく分かっているんだろう?」
一瞬、言葉に詰まった。
ほんの一拍分、視線を落とし心を落ち着かせてから、真っ直ぐに彰貴のお父さんの目を見つめた。
「いいえ。何の話か、見当もつきません」