イジワル御曹司と花嫁契約
「すみません、お待たせしました」
突然、カーテンのしきりから白衣を着た担当主治医である先生が現れて心臓が縮み上がった。
ずっと待っていたはずなのに、心の準備ができていなくて焦ってしまう私。
そんな私の前に座った先生は、慣れた様子でカルテやレントゲンの資料を準備していく。
先生は眼鏡をかけた三十代後半と思われる優男だ。
おっとりとした優しい雰囲気を纏った親切な先生なのでお年寄りから慕われている。
しかし、過労と寝不足なのか、いつも顔が青白い。
レントゲンに光を当て、丁寧に説明してくれる。
けれど、専門用語を出されると途端に何を言っているのか分からなくなり、首を傾げる様子の私を見て、先生は私にも分かるように言葉を選んで簡単に説明し出した。
「このように、がんの大きさはわずかではありますが大きくなっています。
血液検査の結果も良いとは言えず、抗がん剤は冴木さんには効かなかったものと思われます」
「そんな……あんなに頑張ったのに……」
求めていた説明とはまったく逆のことを言われ、頭が真っ白になった。
視界がくらみ、涙が浮かんでくる。
ショックを受けている私に、先生は真剣な眼差しで見つめ、切り出した。
突然、カーテンのしきりから白衣を着た担当主治医である先生が現れて心臓が縮み上がった。
ずっと待っていたはずなのに、心の準備ができていなくて焦ってしまう私。
そんな私の前に座った先生は、慣れた様子でカルテやレントゲンの資料を準備していく。
先生は眼鏡をかけた三十代後半と思われる優男だ。
おっとりとした優しい雰囲気を纏った親切な先生なのでお年寄りから慕われている。
しかし、過労と寝不足なのか、いつも顔が青白い。
レントゲンに光を当て、丁寧に説明してくれる。
けれど、専門用語を出されると途端に何を言っているのか分からなくなり、首を傾げる様子の私を見て、先生は私にも分かるように言葉を選んで簡単に説明し出した。
「このように、がんの大きさはわずかではありますが大きくなっています。
血液検査の結果も良いとは言えず、抗がん剤は冴木さんには効かなかったものと思われます」
「そんな……あんなに頑張ったのに……」
求めていた説明とはまったく逆のことを言われ、頭が真っ白になった。
視界がくらみ、涙が浮かんでくる。
ショックを受けている私に、先生は真剣な眼差しで見つめ、切り出した。