イジワル御曹司と花嫁契約
　彰貴が乗り込むと、運転手は当然のようにドアを閉めようとした。


すると彰貴が「待て、こいつも一緒に乗せていく」と身を乗り出して言った。


「この方を……ですか？」


　運転手は驚いたような顔で聞き返した。


「ああ、こいつも送ってやってくれ。いいだろ？」


「もちろん、問題ないですが……」


　そう言って運転手は初めて私の存在に気付いたかのように、私の顔を見た。


上から下まで値踏みするような眼差しで見られ、居心地が悪く感じた。


「どうぞお乗りください」


　と丁寧に言われ、彰貴と運転手の会話に少し違和感のような引っかかりを受けたけれど、「すみません、失礼します」と言って車に乗り込んだ。


　初めて乗るリムジンに、思わず緊張してしまう。


シート数は後部座席三席で多くはないけれど、まるで飛行機のファーストクラスの座席のように広々としていて座り心地がふかふかだ。


運転席との間に可動式の仕切りがあり、プライベートも保たれている。


　あまりに立派な造りに背もたれによりかかることができず萎縮してしまう私。
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