イジワル御曹司と花嫁契約
「凄いね、リムジン、初めて乗った」


 感心しながら言う私に、


「リムジン以外乗ったことないから凄さがわからん」


 と平然としながら言い放った。


 ……こいつ、殴ってもいいですか?


 呆れて怒りを押し殺すようなジトっとした目線を向ける。


「なんだその心の底から軽蔑するような目は」


「あ、ごめん。ほら、目は口ほどに物を言うっていうじゃない。つい本音が目から溢れ出ちゃった」


「お前なあ……このっ!」


 復讐だといわんばかりに、彰貴は隣に座っている私の脇腹のお肉を摘んだ。


「ちょっ、何すんの! ……このっ!」


 お返しに脇の下をくすぐる。


「うわ、やめろっ!」


 予想以上に脇の下は弱いらしく、身をよじらせて抵抗している。


その反応が面白くてさらにくすぐる手を強める。


「馬鹿!やめろっ……本当に……」


 怒ってるんだか笑ってるんだか分からない表情で悶える彰貴。


 ああ、なんか、かわいい。


 意地悪い目で笑いながらくすぐってるけど、胸の奥はきゅんとした甘酸っぱさに包まれている。


「まじで……やめないとキスするぞ!」
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