壊れるほど抱きしめて



「待って、行かないで!」


そう言った私は、後から坂木くんを抱きしめた。


「あんた……何がしたいんだ」


「わからない。わからないけど坂木くんの側に居たい」


坂木くんを一人にしたくなくて、私はもっと坂木くんに近づきたくて、側に居たいと思った。


「また、抱かれたいとか?」


振り返り私を見てそう言った顔は、あざ笑うかのような表情だけど冷たかった。


でもーーー


「抱いて……」


「あんた、正気か?俺はあんたを好きにもならないし、俺に抱かれてあんたになんのメリットもないだろ。それに簡単に"抱いて"なんて言うな。頼むから俺の心に入り込まないでくれ!」


「それでもいい、抱いてほしいの!」


繋ぎ止めたくて、愛されなくてもいいから側に居たくて、誰かの代わりでも構わないから抱かれたいと思った。


私はーーー


坂木くんが好き。


こんな気持は初めてだ。


あなたの苦しみを全て、私にぶつけてーーー






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