壊れるほど抱きしめて
仕事帰りにスーパーに寄り、今週分の食材を買って家に帰った。
坂木くんとは時間も合わないし、週末は休みだから一緒にご飯は食べられるけど。
料理を作るのは嫌いじゃない。
でも坂木くんに食べてもらうってなると自信が持てない私は、料理の本も購入した。
金曜日は給料日だし、それまでにどんな料理を作るか本を見て決めて買い物に行こう。
少しでも美味しいって思ってくれたら嬉しいな。
夕食を簡単に作り、食べた後は料理本を見ていた。
だけど何が好きで、何が嫌いかもからないから迷ってしまう。
そんな時、定食屋に一緒に行った事を思い出した。
坂木くんは確か、トンカツ定食を食べていた。
サラダも食べてたし、豚肉は好きなのかな?
色々と考えた結果、スタミナのある料理を作る事に決めた。
そして休みになり、私は朝から買い物に行った。
坂木くんに喜んでもらいたくて、料理本やネットで料理を調べたりしていた。
短期間でこんなに坂木くんを好きになるなんて、私は重症かもしれない。
スーパーに着いて食材を籠に入れていく。
今日と明日の食材を選んでると、何だか坂木くんの奥さんになったような気分になった。
それは叶うことはないとわかっていても、今だけはそう思ってもいいよね?
買い物してるこの時間は、私にとって幸せな時間だった。
買い物を済ませてアパートに帰り、お昼になると坂木くんの部屋に食材と調味料の入った袋と、鍋やフライパンも袋に入れて持って向った。