壊れるほど抱きしめて
中に入ると坂木くんは言った。
「何を買うつもり?」
「買うのは最後にして、ちょっと色々と見たいからいいかな?」
「……」
坂木くんは何も言わなかったからいいって事だ。
私の隣を歩いてるだけの坂木くんだけど、こうして一緒に歩くのも悪くない。
お店を見たりして歩いてたけど、坂木くんは笑顔になる事もなく、帰りたそうな顔をしている。
「ねえ坂木くん、私ね、どうしても見たい映画があるから一緒に見てくれない?」
「……」
何も言わない坂木くんたが、歩いていた足を止めた。
でもそんな坂木くんの腕を引っ張り、私は映画館へと向かって歩いた。
着いて私が気になっていた映画があり、時間を見ると後十分で上映だった。
私はチケット売場で大人二枚を買おうとしたら、坂木くんがお金を入れた。
「え、私が誘ったんだし坂木くんは払わなくていいよ?」
「いいから早く押せよ。後ろ待ってるから」
後ろを見ると並んでる人が居た為、私は急いでチケットを購入した。