壊れるほど抱きしめて



映画館を出ると坂木くんは立ち止まり、振り返ると私に言った。


「もういいだろ?早く買う物を買って帰りたいんだけど」


「う、うん…じゃあ行こうか」


そう言って私達は食器が売ってるお店に向った。


坂木くんの食器棚にはあまり入っていないし、私の部屋から持って来た物を取り敢えず置いているけど、お揃いの食器が欲しかった。


また一緒にご飯が食べられて、少しでも側に居たいから、私は坂木くんの部屋に自分専用の物を置いておきたかった。


食器を選んで籠に入れていき、マグカップや茶碗なんかは色違いを選んだ。


レジに行こうとすると、隣になり居た坂木くんが私から籠を奪うと、そのままレジまで向かっていく。


私も慌てて坂木くんの後を追った。


そしてお金を払おうとしたら、また坂木くんがお金を先に払った。


「え、あのっ」


「何?もう買ったしそのまま帰るから」


「でもお金……」


「いらない。俺は先に店の前に居るから」


そう言って先に坂木くんは出て行ってしまった。


店員さんは割れないように、新聞紙でお皿を包んで袋に入れてくれた。


袋を受取り、お店から出て坂木くんの所へ向った。



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