壊れるほど抱きしめて
部屋に戻り、私はテーブルの前に腰を下ろした。
あんな乱れた坂木くんを見ると、心が痛む。
そして私は鞄から一枚の名刺を取り出した。
掛けるか掛けないか迷ったけど、私はさっきショッピングモールで会った、坂木くんの友達に電話をした。
『はい、真鍋(まなべ)です』
「あ、あのっ、さっきショッピングモールで名刺を貰った望月と言います」
『さっきの……電話を掛けてきたって事は今は聖也は居ないの?』
「はい」
『まだ俺、ショッピングモール内なんだけど、もうすぐ帰えろうと思ってたんだけど、今から時間はあるかな?望月さんさえ良ければ、ショッピングモールの近くに喫茶店あるの分かる?』
「はい、わかります」
『じゃあそこで話ができるかな?』
「わかりました!今からだと三十分くらいかかりますけどいいですか?」
『うん。わざわざごめんね?じゃあ喫茶店で待ってるよ』
「わかりました」
そう言って電話を切ると、私はそのまま部屋を出て車に乗って、待ち合わせ場所の喫茶店に向かった。
彼に話を聞けば、坂木くんがどうしてあんなに苦しんてるのか分かるかもしれない。
運手しながらそんな事を思い、私は喫茶店に向かって車を走らせる。