壊れるほど抱きしめて
喫茶店近くの駐車場に車を停めて、喫茶店の中ヘ入ると、さっき名刺をくれた真鍋さんが椅子に座って居て、私は真鍋さんの席に歩いて行った。
「お待たせしました」
「こっちこそわざわざ来てもらってありがとう。話す前に何か飲み物でも頼んで下さい」
「はい」
私はメニューを見て、アイスコーヒーを注文した。
アイスコーヒーがテーブルに運ばれて、私はそれを一口飲んだ。
「俺、聖也とは小学校からの親友で、高校まで同じ学校だったんだ。望月さんは聖也とは何処で知りあったの?」
「私は坂木くんとは同じ工場で働いていて、同期で入社しました。そして一ヶ月前にアパートに引っ越したんですけど、隣の部屋が坂木くんだったんです。あまり会話はないんですけど、坂木くんはいつも部屋からあまりでないから今日はどうにか一緒に出掛ける事に成功したんです」
「そうだったんだ。望月さんって聖也の事が好きなんだね?」
「えっ?あ、あの……」
急にそんな事を言われて動揺してしまった。
これじゃ好きだって教えてるようなものだけど。
「あははっ、望月さんってわかりやすいんだね?だけど……聖也の心を動かすのは中々、難しいかもしれないけど、望月さんならそんな聖也の心を動かせるかもしれないね」
「……」
その言葉に私は何も言えなかった。