壊れるほど抱きしめて
私は仏壇の前に座り、横に置いてある写真を見つめた。
写真の中のかおりさんは笑顔で、坂木くんの部屋で見た写真のかおりさんと一緒だった。
私は線香に火をつけ手を合せた。
「お茶入れたから飲んで下さい」
そう言ってかおりさんの母親がお茶をテーブルに置いた。
「わざわざすみません、ありがとうこざいます」
そう言って私はお茶を一口飲んだ時だった。
「お客さんかい?」
そう言って現れたのはかおりさんの父親だった。
「かおりに手を合わせに来てくれたの」
「そうか……かおりに。わざわざありがとうございます」
「いいえ。それより、今日はお二人に話したい事があってきました」
「私達に?」
「はい」
私がそう言うと、二人は不思議そうな顔をしてこっちを見た。
「あの、私は坂木聖也さんの知り合いなんです。かおりさんの事は、坂木さんの知り合いから話を聞きました。彼は今でも苦しんでいます、どうか彼にかおりさんのお墓参りに行かせてはもらえないでしょうか?」
「アイツの?断るっ!アイツのせいでかおりはっ……」
「だけど彼はかおりさんがイジメられていた事は知らなかったんです。彼もかおりさんが亡くなってからずっと誰にも心を開く事なく、苦しんでいます」
「そんなの知った事か!かおりはもっと苦しんでたんだ」
かおりさんの父親は怒鳴って言った。