壊れるほど抱きしめて
「私の父と姉は交通事故で亡くなりました。父は私が小学生の頃に亡くなり、姉は高校三年の時に事故に合い亡くなりました」
「……」
「私も辛くて悲しかったです。お二人の気持ちも私はわかります、だけどこのまま彼を恨むのはまた違うと思うんです。彼の友人から話を聞いて、かおりさんは彼の前ではいつも幸せそうに笑っていたそうです。かおりさんは彼を愛していたからこそ、本当の事を言えなかったんではないでしょうか?好きな人の前では笑顔で居たかったんだと思います。それに……両親である二人にも、気づかれないように笑顔でいたんではないでしょうか?近くに居ても、かおりさんの異変に気づかない程、かおりさんは大好きな人の前では笑顔でいたはずです。かおりさんもきっと彼を恨んでないはずです。彼にかおりさんに会わせてはもらえないでしょうか?」
私は頭を下げて両親に頼んだ。