壊れるほど抱きしめて
「今度、彼を連れて来なさい。かおりの手紙に書いてあったように、もう彼を恨む事はしない。じゃなきゃかおりに怒られてしまうからな……」
「いいんですか?」
「ああ……」
「ありがとうございます!今度の週末にでも連れてこれたら来ますね」
そう言ってもう一度頭を下げた。
私はかおりさんの両親の家を出て、自分の車に乗った。
後はどうにか坂木くんを連れ出すのみ。
彼が前に進めたらそれでいい。
坂木くんにとって私は、同じ工場で働くただの同期でお隣さんってだけ。
私が勝手に坂木くんを好きになっただけで、坂木くんからしたら迷惑でしかないだろう。
もう坂木くんに深入りはしないし、好きな気持は胸にしまうから、一日だけ側に居たい。
私は週末に坂木くんの部屋に行くことに決めた。
例え嫌がられても、嫌われても、一日だけ私に坂木くんの時間を下さい。