壊れるほど抱きしめて




「坂木くん、明日のお昼に一緒に来てほしい場所があるの」


「……」


「もう坂木くんに深入りもしないし、部屋にもこないから最後のお願い聞いてくれる?」


「……わかった」


そう言ってくれて安心した。


「それともう一つだけお願いがあるの……最後にもう一度だけ私を抱いて?」


「……」


坂木くんは黙ったまま私を見つめる。


「お願いっ、最後にもう……」


そう言いかけた私に坂木くんはキスをした。
そのまま私をベッドに押し倒し、キスも深くなる。


今だけは好きな気持ちが溢れ、心の中で何度も彼に『好き』だと言った。


彼の愛撫に私の体は熱を帯びる。
彼の唇も、手も、髪も、声も、今だけは私だけの物でいさせて。


「ああっ、もう、お願いっ……」


私は彼にそう懇願する。


私の甘い蜜に誘導され、彼の熱いものが私の中に入ってきた。


「ああっ……」


私の口からは甘い吐息が漏れる。


「お願いっ、小春って…っん、呼んで…あぁっ…」


一度だけでいい、私の名前を彼に呼んで欲しかった。


お互いの呼吸も荒くなり、絶頂に達するその時だったーーー


「……小春っ」


彼は私の名前を呼んで絶頂に達した。


それだけで私は幸せで、そのまま眠に就いた。





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