壊れるほど抱きしめて



「あんた……誘ってんの?」


「ち、違っ……っん」


違うと言いかけたら坂木くんが突然、私にキスをしてきた。


そのキスは無理矢理してるかのように感じるが、それは誰かと私を重ねているようなキスにも感じた。


頭では抵抗しようと思ってるのに、私は坂木くんのキスを受け入れていた。


坂木くんは更にエスカレートし、私の口の中に舌を入れてきた。


私も坂木くんの舌に自ら舌を絡め、そのキスに溺れそうになる。


すると坂木くんは急に私から唇を離した。


でも私の唇は、離れてしまった坂木くんの唇を欲していた。


「……あんた、何でキスされて抵抗しないでそのまま受け入れてんの?」


「……分からない。だけど嫌じゃなかったしもっとキスがしたいと思った」


「……あんた変わってるな?もしかしてキス以上されても抵抗しなかったとか?」


「それは……」


私は言葉に詰まった。
改めてそう言われてしまうと坂木くんのキスで私は既に溺れかかっていた。
否定はできない。


「俺は下で寝るからあんたはこのままベッドで寝な」


そう言ってベッドから降りようとした坂木くんの腕を私は掴んだ。


「……何?」


「……抱いてもいいよ」


「は?あんた何言っ……!!」


そう言いかけた坂木くんに、今度は私からキスをした。
自分でもどうして抱いてもいいなんて言って、キスをしたかもわからない。


ただこの時は彼が欲しいと、後先なんて考えずに本能でキスをしたんだと思う。




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