壊れるほど抱きしめて



私は窓から声がした下を見ると、そこには聖が立っていた。


「聖?久しぶりだね」


「ああ、小春は実家に帰ってきたのか?」


「うん、一週間くらいゆっくりするつもり」


「そっか、それより少し話をしないか?立ち話もなんだしな」


「だね、じゃあ家に上っておいでよ。お母さんも聖をみたら喜ぶんじゃない?」


「わかった」


そう言って聖は家に来た。


久しぶりに見る聖は姉を失った時とは別人で、今は昔よりも更に格好良くなったように見える。
一緒に墓参りに行った後は、聖も就職先を探してたし、それから聖とは会っていなかった。


「あら聖くん!いらっしゃい」


「こんにちは、お邪魔します」


「小春、聖くんにお茶を出してあげて」


「うん」


そう言って冷蔵庫からお茶を取り出し、コップに入れてそれを聖に渡した。


聖はお茶を飲むと仏壇の前に座って手を合わせた。


「そう言えばさ、聖がお姉ちゃんの命日の日にお花を持って来てくれてるんでしょ?」


「え?ああ、バレてた?由利の大好きな花を命日の日に持って行ってる。一番に由利に会いたくてさ。仕事も忙しいけど、命日の日だけは休みを貰ってるんだ。勿論、おじさんにもちゃんと手を合わせてるからな?」


「わかってるよ、いつもありがとう」


そう会話をした後は仕事の話をしたり、母も交えて話をしたりした。
そして聖が帰る前に、連絡先を交換して聖は家に帰って行った。


元気そうな聖を見れて安心した。




< 63 / 72 >

この作品をシェア

pagetop