壊れるほど抱きしめて
私は窓から声がした下を見ると、そこには聖が立っていた。
「聖?久しぶりだね」
「ああ、小春は実家に帰ってきたのか?」
「うん、一週間くらいゆっくりするつもり」
「そっか、それより少し話をしないか?立ち話もなんだしな」
「だね、じゃあ家に上っておいでよ。お母さんも聖をみたら喜ぶんじゃない?」
「わかった」
そう言って聖は家に来た。
久しぶりに見る聖は姉を失った時とは別人で、今は昔よりも更に格好良くなったように見える。
一緒に墓参りに行った後は、聖も就職先を探してたし、それから聖とは会っていなかった。
「あら聖くん!いらっしゃい」
「こんにちは、お邪魔します」
「小春、聖くんにお茶を出してあげて」
「うん」
そう言って冷蔵庫からお茶を取り出し、コップに入れてそれを聖に渡した。
聖はお茶を飲むと仏壇の前に座って手を合わせた。
「そう言えばさ、聖がお姉ちゃんの命日の日にお花を持って来てくれてるんでしょ?」
「え?ああ、バレてた?由利の大好きな花を命日の日に持って行ってる。一番に由利に会いたくてさ。仕事も忙しいけど、命日の日だけは休みを貰ってるんだ。勿論、おじさんにもちゃんと手を合わせてるからな?」
「わかってるよ、いつもありがとう」
そう会話をした後は仕事の話をしたり、母も交えて話をしたりした。
そして聖が帰る前に、連絡先を交換して聖は家に帰って行った。
元気そうな聖を見れて安心した。