壊れるほど抱きしめて




工場に着いていつものように仕事をした。


忙しさと暑さが寝不足の私を更に疲れさせた。


やっと仕事も終わり私が事務所へ向う途中、今は一番会いたくなかった人に会ってしまった。


「お、お疲れ様です」


「お、おいっ!」


何か言いたげな坂木くんだったが、私は逃げるようにして事務所に向かう。


彼を見て思ったのは、やっぱり"好き"だって事。
胸が苦しくなるほど愛しさが込み上げてくるのを必死で抑え、私はアパートに帰った。


このままじゃ絶対に忘れる事なんか出来ないよ……。


久しぶりのアパートだったが、隣に坂木くんが住んでるってだけで落ち着かない。


一週間前はあんなに強気だったのに、今となっては弱気だ。


エアコンを入れた私はそのままベッドに横になると、寝不足のせいもありそのまま寝てしまっていた。


どれくらい時間がたったのか、スマホの着信音で目が覚めた。


まだ眠い体を起してスマホを鞄から出すと、聖からの着信だった。


「もしもし?」


『小春?今大丈夫?』


「うん、聖の着信音で目が覚めた」


『起こしちゃってごめんな?小春に話したい事もあるし、来週の土曜日迎えに行くから一緒に由利の墓参りに着いて来てくれないか?』


「お姉ちゃんの?いいけど命日は来月だよね?」


『うん、そうなんだけど……兎に角、日曜日に話をするから取り敢えず小春のアパートまで迎えに行くから住所後でメールで送っておいて』


「うん」


何でまた命日前に?話ってなんだろ?


疑問に思いながらも私は聖に住所をメールで送った。


私は先にシャワーを浴びて、何も作りたくなかったからカップラーメンを作って食べた後は、歯磨きをしてまた眠りに就いた。





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