壊れるほど抱きしめて
ーーーピピピッ
私はスマホのアラーム音で目を覚ました。
今日は日曜日で聖と一緒に姉のお墓参りに行く。
金曜日までの間、仕事が終わって事務所に向う途中、何度か坂木くんに会ったが、私は『お疲れ様です』とだけ言って目も合わせずに坂木くんを避けていた。
何か言いたげだった坂木くんだったけど、気持ちを抑えるのにいっぱいで、普通に会話なんて出来ない。
昨日の土曜日も部屋から一歩も出ずにずっとゴロゴロしていた。
私は用意をしてコーヒーを飲んでると、『アパートの前に着いた』と聖からメールが来て、私は部屋を出て階段を降りた。
「お待たせ」
「悪いな付き合ってもらって」
「いいよ、私も命日の日くらいしか行けてなかったしさ」
「じゃあ乗って」
「うん」
聖の車に乗り、姉と父が眠るお墓へ向かった。
聖は来る途中で買ったのか、まだ冷たい缶コーヒーを私にくれた。
お墓に着くまでの一時間、私達は昔の思い出話をしていた。
お墓に着いて車を降りた。
私もお花と線香を持って来たが、聖も同じようにお花と線香を持って来ていた。
お墓の前に着いてお花を添えて線香に火を付けると二人で手を合わせ、目を閉じる。
『お父さん、お姉ちゃん、久しぶりだね?忙しかったり疲れたりで命日の日にしか行けなくてごめん』
そう心の中で言った。
私が目を開けて聖を見ると、まだ手を合わせて目を閉じていた。
きっとお姉ちゃんに話をしているんだ。
暫くして聖が目を開けた。
「今日は本当にありがとな?おじさんと由利に報告したかったし、小春にも話したい事もあったからさ。飯でも食いながら話すから、何か食べに行こう」
「わかった」
私達は車に戻り、実家の近くにある喫茶店に行くことにした。
喫茶店に着くと懐かしくて、昔と全然かわらない。
聖と姉もよく行ってたもんね。
私達はオムライスを注文した。