壊れるほど抱きしめて
坂木くんは私をベッドに押し倒した。
「あんたを抱いても俺はあんたを好きにもならない!それでもあんたはいいわけ?」
私は彼の目を見てコクリと頷いた。
好きになってとは言わない。
それでも彼が欲しいと思った。
そんな私を見た坂木くんは一瞬、驚いたように目を見開いたが、いつもの表情に顔を戻すと再び、私にキスをして唇を蝕んできた。
私は彼のキスに完全に溺れていったーーー。
唇が離れると首筋に舌を這わせ、彼は服の中に手を忍ばせて何も着けていない私の膨らみを触ってきた。
それだけで私の体は反応しビクンとなる。
服を捲り上げると彼は膨らみの先端を唇で刺激した。
「あっ……」
私の唇から甘い吐息が漏れ、彼の愛撫に私の体は淫らに咲き乱れる。
彼の唇が、指が、私の体を熱くさせる。
「あんた……淫乱だな」
そう言われた私は恥ずかしさもあるのに、それでも坂木くんが欲しくて堪らない。
「……お願いっ、もう」
私は涙目で彼にお願いした。
「後悔しても、もう遅いからな……」
そう言うと私の中に彼の熱く硬い物が入って一つに繋がった。
「ああっ、……んっ」
再び体に快感が襲い、甘い吐息が漏れる。
私は狂いそうになるほど彼を求めた。
悲しげな表情を時折見せる彼を見ると、顔色一つ変えない表情の裏側に何かを抱えて苦しんでいるようにも見える。
たけど今だけは私だけを感じて欲しい。
そしてーーー
「…かおりっ」
彼は女性の名前を口にすると絶頂に達した。
抱かれる前に坂木くんは『あんたを抱いても俺はあんたを好きにもならない!それでもあんたはいいわけ?』そう言ったのは坂木くんの心の中に"かおり"と言う人が居るからなのかもしれない。
坂木くんが辛そうな表情をしているのは何故なのか。
私は聞けない…。
誰かの代わりだとしても抱かれたのは私だから。