うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
お医者様を呼んでください ~うっかりな夜〜
 




 了弥が風呂に入っている間、瑞季は慌てて、佐藤の連絡先を探していた。

 佐藤、佐藤……

 確か。

 佐藤朝日(あさひ)。

 可愛い系の顔だけど、確か、めちゃ頭が良かった。

 お医者さんになったとか聞いて、ああ、やっぱりねって思ったんだった。

 斉藤、佐々木、佐田……

 あれっ?

 ないっ!

 佐藤はないっ。

 でも、そうか。

 神田くんだって、勝手にスマホに入れたって言ってたし、普通入ってないよなー。

 了弥はまだ風呂のようだ。

 未里に電話しようかと思ったが、もう十時だ。

 小さな子どもの居る未里は、もう寝ているに違いない。

 少し迷って、神田にかけた。

 あんなことのあとだ。
 かけられた神田も驚いたようだった。

『どうしたの? 相楽さん。
 デートのお誘い?』

 軽口を叩く余裕は相変わらずあるようだ。

 じゃあ、大丈夫か、と思いながら、

「ごめん。
 佐藤くんの連絡先知らない?」
と訊くと、

『……鬼だね、君は』

 人に期待させておいて、と嫌味を言われる。
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