うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
坂上とは最近、話していなかったが、社内では何度か会った。
了弥と居るときに。
それで、彼は早くから、自分と了弥に関係があることに、気づいていたのだろう。
こ……こんな近くに正解を知る方法があったとは、と崩れ落ちそうになる。
「ね、こいつ嫌な能力持ってるだろ?」
といつの間にか側に居た笙が言う。
「僕がこの子いいなあ、と思った瞬間に、ああ、駄目だよ、あれ、部長と不倫してるよとか教えてくれるんだよ」
「ハマる前に教えてやってんだ。
親切だろ?」
「知りたくないことだってあるんだよ、ねえ、瑞季ちゃん」
と言ってくる。
いや、そこで、ねえ、と言われても。
はは……と瑞季は笑った。
「行くぞ、瑞季」
本部長と話が終わったらしい了弥が振り向いて言ってくる。
「『行くぞ、瑞季』だって」
あれじゃ、僕でなくともわかるよねー、と坂上が言っていた。
了弥と居るときに。
それで、彼は早くから、自分と了弥に関係があることに、気づいていたのだろう。
こ……こんな近くに正解を知る方法があったとは、と崩れ落ちそうになる。
「ね、こいつ嫌な能力持ってるだろ?」
といつの間にか側に居た笙が言う。
「僕がこの子いいなあ、と思った瞬間に、ああ、駄目だよ、あれ、部長と不倫してるよとか教えてくれるんだよ」
「ハマる前に教えてやってんだ。
親切だろ?」
「知りたくないことだってあるんだよ、ねえ、瑞季ちゃん」
と言ってくる。
いや、そこで、ねえ、と言われても。
はは……と瑞季は笑った。
「行くぞ、瑞季」
本部長と話が終わったらしい了弥が振り向いて言ってくる。
「『行くぞ、瑞季』だって」
あれじゃ、僕でなくともわかるよねー、と坂上が言っていた。