うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
「あ、じゃあね」
と特に否定もせず、瑞季はエレベーターに乗ろうとする了弥を追いかけていった。
途中でカシャンッとキーケースを落としていた。
「待って。
ごめんなさい」
とそのキーケースを手にエレベーターに乗り込むと、ボタンを押して待ってくれていた了弥が言う。
「もう落とすなよ、鍵」
「大丈夫大丈夫」
と笑ったが、お前の大丈夫ほど、不安なものはない、という顔をする。
新しく新調したキーケースだ。
了弥とお揃いで、お互いの家の鍵が入っている。
だが、了弥は、
「でもこれ、もういらないよな」
と瑞季の家の鍵を引っ張り、言う。
「え?」
「もう返せよ、それ」
そろそろいらないだろ、とあまりこちらを見ずに言う。
その横顔を見ながら、笑ってしまった。
本当に口に出すのが苦手な人だな、と。
でも、私も同じだ。
自分の想いを口に出すのも、勇気を出して、なにかを確かめるのも苦手だ。
でも、もう絶対、間違わないから。
と特に否定もせず、瑞季はエレベーターに乗ろうとする了弥を追いかけていった。
途中でカシャンッとキーケースを落としていた。
「待って。
ごめんなさい」
とそのキーケースを手にエレベーターに乗り込むと、ボタンを押して待ってくれていた了弥が言う。
「もう落とすなよ、鍵」
「大丈夫大丈夫」
と笑ったが、お前の大丈夫ほど、不安なものはない、という顔をする。
新しく新調したキーケースだ。
了弥とお揃いで、お互いの家の鍵が入っている。
だが、了弥は、
「でもこれ、もういらないよな」
と瑞季の家の鍵を引っ張り、言う。
「え?」
「もう返せよ、それ」
そろそろいらないだろ、とあまりこちらを見ずに言う。
その横顔を見ながら、笑ってしまった。
本当に口に出すのが苦手な人だな、と。
でも、私も同じだ。
自分の想いを口に出すのも、勇気を出して、なにかを確かめるのも苦手だ。
でも、もう絶対、間違わないから。