うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
「み、見てたの? 神田くん」
と訊いたが、いや、と言う。

「此処に立ってると、誰でもママって言われるからね」
と言ってくる。

「あ、そうなんだ」

 そういえば、と思い出して訊いてみた。

「神田くん、イケメン先生って呼ばれてるんだ?」

 神田は笑顔で、
「そうみたいだね」
とサラリと流す。

 うっ。
 さすが、神田くんだ……、と思っていた。

 なんというか。
 子どもの頃から、上品な風貌で、落ち着き払っていた。

 学校の先生というのが、ピンと来るような、来ないような。

 しかし、相変わらず、イケメンという、ちょっと軽い言葉が似合わないくらい、顔が整っている。

 夕日の中で、白い肌が一層引き立って綺麗だ。

 体格も意外にがっしりしていて、悪くない。

 こんな先生、子どもの頃居なかったよなーと思いながら、マジマジと眺めてしまった。
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