うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜
 神田が
「……相楽さん、僕の顔になにかついてる?」
と訊いてくる。

「あ、ああ、ごめん。
 そうだ、この顔だったな、と思ってたの」
と言うと、

「相変わらずだね、相楽さん」
と言われてしまった。

「ちょっと時間がなかったから、一枚だけ焼いてきたんだけど、DVD」
と後ろを振り返りながら、神田は言う。

「終わらないかと思った仕事が終わりそうなんだ。
 もし、よかったら、一緒にご飯とかどう?

 同窓会のとき、ちょっと話し足らなかったし」
と言い、神田は、同窓会で披露されたみんなのエピソードに少し触れ、笑っていた。

 そ、その辺の記憶がないから、ちょっと聞きたい、と思い、
「そうだね。
 じゃあ、何処かで待ってようか」
と言ってみる。

 笑い話のついでに、夕べのお持ち帰りのヒントでも、と思ったのだ。

「ほんと?
 悪いね。

 三十分くらいで切り上げるから。

 ああ、その先の商店街に、相楽さんが好きそうな昔ながらの書店さんがあるよ」
と教えてくれる。
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