最悪な政略結婚を押しつけられましたが、漆黒の騎士と全力で駆け落ち中!
「もう二度と、お会いすることはできないのですか?」
「恐らくそうだと思います。でもその方がよいのですよ。とてもとても寂しいけれど」
涙を湛えた目で私とエヴルをじっと見つめ、モネグロス様が両手を伸ばしてくる。
そしてその手でそっと、私たちの頬に触れた。
「かつてこの砂漠に、身を切るようなつらい別れの風が吹きました。そして時を経てまたこうして、キアラとエヴルの若い風が吹いている」
優しく微笑む金色の瞳から、澄んだ涙がつうっと零れ落ちた。
透明な雫が幾粒も、形良い頬を伝って白い衣装の胸元を濡らしていく。
次々と涙の溢れる両目を閉じて、思い出に浸るように微笑むモネグロス様が、ここにはいない誰かに向かって切々と語りかけた。
「……おお、我が友よ。やはりあなたの、あの選択は間違ってはいなかった。私はいまそれを確信します。大きな喜びと、深い敬愛と、永遠の友情と共に」
温かくて柔らかい手のひらから、純粋な深い慈しみの感情が伝わってくる。
その想いに応えるように、私の胸がはち切れそうなほど大きく昂ぶった。
モネグロス様のひと言ひと言がこんなに嬉しくて、こんなに寂しくて切なくて、心を千切られる惜別の感情が止まらない。
これは私の中に流れるジン様の血がそうさせるのだろうか?
かつて、これほど苦しい別れを経て、それでもジン様は愛する人の隣に立つことを選んだのね。
「恐らくそうだと思います。でもその方がよいのですよ。とてもとても寂しいけれど」
涙を湛えた目で私とエヴルをじっと見つめ、モネグロス様が両手を伸ばしてくる。
そしてその手でそっと、私たちの頬に触れた。
「かつてこの砂漠に、身を切るようなつらい別れの風が吹きました。そして時を経てまたこうして、キアラとエヴルの若い風が吹いている」
優しく微笑む金色の瞳から、澄んだ涙がつうっと零れ落ちた。
透明な雫が幾粒も、形良い頬を伝って白い衣装の胸元を濡らしていく。
次々と涙の溢れる両目を閉じて、思い出に浸るように微笑むモネグロス様が、ここにはいない誰かに向かって切々と語りかけた。
「……おお、我が友よ。やはりあなたの、あの選択は間違ってはいなかった。私はいまそれを確信します。大きな喜びと、深い敬愛と、永遠の友情と共に」
温かくて柔らかい手のひらから、純粋な深い慈しみの感情が伝わってくる。
その想いに応えるように、私の胸がはち切れそうなほど大きく昂ぶった。
モネグロス様のひと言ひと言がこんなに嬉しくて、こんなに寂しくて切なくて、心を千切られる惜別の感情が止まらない。
これは私の中に流れるジン様の血がそうさせるのだろうか?
かつて、これほど苦しい別れを経て、それでもジン様は愛する人の隣に立つことを選んだのね。